デニス・ルヘイン原作の映画を再び

シャッターアイランド」をみた。悲しくて暗いけど、示唆に富む内容だった。
ひとは、肉体的もしくは精神的に大きな衝撃をうけた場合、想像以上に、心に大きな傷を負うのかもしれない。大地震がおきて、津波に飲み込まれる故郷を見てしまったら?非人道的な犯罪に巻き込まれてしまったら?
自分なら立ち直れる。そう簡単に思っていたけれど、なぜ、精神をつかさどる脳と、胃や心臓などのほかの臓器は違う、と考えていたのだろう。極度のプレッシャーが加われば、脳も故障する(正気を保てなくなる) のは普通のこと。そんなことを考えるきっかけになった。
印象的だったのは、マーラーのピアノ四重奏がレコードから流れる場面。
ディカプリオ演じるテディと相棒チャックが短い会話を交わす。
'Nice music.Who is it?Brahms?'(いい音楽だ。ブラームスか?)とチャックが尋ね、
テディが'No. It's Mahler.' (違う マーラーだ)と答える。
テディの表情、マーラーの旋律、記憶と現実とが交錯する感じ。こういった世界観を構築できるスコセッシ監督は、すごいなぁと思う。
 
それにしても、デニス・ルヘインの話は重たい。好きだけど、精神を抉られる感じがする。

簡単な単語を使いこなす

引き続き「そんな彼なら捨てちゃえば?」について。原題 'He's Just Not That Into You' は、簡単な単語ばかりだけど、わりと便利な表現だということを、Bizmatesで知った。
 
ひとつ目が 'into'
ある講師とのレッスンで、'Are you into healthy living?' と質問をされた。はじめ、何を言ってるのか理解できなかったし、'into'を聞き取ることもできていなかった。この時、'into'は「何かに興味があるかないか」 という意味で使えるとはじめて知った。
印象として、'interested in xxx' は固いテーマ(学問や社会問題など)、'into'の方が幅広く使える気がしているので、ほぼ'into'を使うことにしている。
それに、映画の原題通り、誰かに気があるといいたい時も使えるのも便利。好きとか愛してるとかじゃなく、なんか気になるとしか言いようがない時ってあるしね。
 
もう一つが 'that'
これも、BizmatesのCross culture Basicsにて知ったもの。
「GEOGRAPHY」のトピックで、日本の地形の説明をしていた時のこと。突如、'Japan isn't that big.' と講師が言った。私はなんでそこに 'that' を入れるの?と質問したら、否定において「そんなには」と否定を和らげたい時に使えるのだと教わった。'Japan isn't very big.'と同じ意味なのだ、と。
学校ではそんなこと習わなかったから、この使い方にしばらく馴染めず、その講師まであまり好きではなくなってしまう程だった。その後、映画や他の講師との会話を通じて、普通の表現なのだとわかり、今となってはその講師にお礼が言いたいくらいなのだけど、彼女のほうは講師を辞めてしまったようだった。
 
たぶん、逆に、なんでこんな簡単なことわかんないの、日本人、学校で何勉強してるの、いったい、とフィリピン人講師は驚いてると思う。

セクシーとセクシー

映画「そんな彼なら捨てちゃえば?」のなかで、4つの分類 'Smart, Sexy, Funny, and Cute.'からふたつを選ぶとしたら、ひとはどれになるか、という会話をみていて思ったこと。
わたしはどれ?とスカーレット・ヨハンソン演じるアンナが自分に気がある男にきくと、男は迷いなく'You are sexy, very sexy and...cute.'(君はセクシー、ものすごくセクシーで…キュート。)と答えている。
正直、セクシーとセクシーしか選べないよ…スカーレット・ヨハンソンってそんなひとじゃないか。
ただ'Four categories.'(4つあるの) とかさらっといわれるだけで、女の自分まで動揺しそうになるのは、ルックスのせいなのか、ハスキーボイスのせいなのか…いずれにしても、英語の発音をマスターしても手に入らない何かな気がする。
ちなみに、「フォーカテゴリーズ」とカタカナ音じゃなく、「フォゥキャトゥゴゥリーズ↗︎」というふうな発音で語尾上がりにすると、若干近づくことができる気もする。
むりかな?
いわゆるロマンティックコメディなこの映画。壮大なストーリーでもなんでもないけれど、ある時はお酒とともに、ある時はコーヒーとおやつをつまみつつ、気軽に見れるこのジャンルは好きだなぁ。

So fluffy!の使い方

映画をみていて、オンライン英会話で知った言葉が出てくると、ちょっと嬉しい。
ズートピアでは、きつねのニックがひつじのふわふわの頭をさわって、'So fluffy! '(超モフモフ!)と大喜びするところ。
この言葉いつ知ったんだっけ、とBizmatesのレッスン履歴を遡ったら、Small Talk で動物の話をした時だった。当時は、この言葉を使うシシュエーションが思い浮かばなかったけれど、その後、それこそ動物やヘアスタイルの雑談をする際にたまに使っている。そして、ニックの「超モフモフ!」に遭遇し、そうか、こういう風に感情を込めて言うことができるのかぁと、改めて発見した気分だった。

ところで、ズートピア。かなり完成度の高い映画だった。動物たちのしなやかで美しい動き、'Try to make the world better place.'(この世界をよくしていこう)というポジティブで共感できるメッセージ、
懐中電灯代わりにスマホを使うような、今という時代をさらりと取り込んでいること、往年の名作ゴッドファーザーをパロっていて、お?それここで出てくるの?と旧世代も不意打ちを食らわせられたり…すべて抜かりがない感じ。
アニメ大国である日本にいて、それこそ大好きなアニメはたくさんあるけれど、この完成度(非の打ち所がない感じ)に到達しているものはない気がする。
That's exactly a feel-good movieだと思う。

Mystic Riverを見て

日経夕刊の書評に、デニス・ルヘインの「あなたを愛してから」が出ていた。タイトルに惹かれて著者についてウィキペディっていたら、前から見ようと思っていた映画「Mystic River」の原作者だった。

さっそく見終わって、しばらく呆然とする。すごいものを見てしまったな、と。 

淀みなく流れる川が、幼馴染3人それぞれが抱える後悔や苦しみを受けとめてくれるようだった。逆に、川がなければ、絶望しか感じられなかったかもしれない。

We bury our sins here,Dave…We wash them clean.
(この河に罪を沈め、洗い流す)
もし理不尽な方法で家族の命が奪われたり、自らが虐待を受けてしまったら?家族のために、あるいは自らの尊厳のために、あるひとは闘うのかもしれない。そして、ジミーが川に自らの罪を沈めたように、自らの苦悩をそれぞれのやり方で解放する。
一方で、デイブは、暗い記憶を体内に留め、解放することができなかった。
It's like vampires.Once it's in you...it stays.
(吸血鬼と同じなんだ。いったん体に入ってしまうと出ていかないんだ。)だから、ダメなんだと言いたいのではない。心に負った傷を癒すことなど到底できないということも、また真実なのだと思う。

しかし、アメリカではこれがベストセラーになるのかぁ。日本人ってここまで内面に切り込まれるのは苦手かもしれない。完全懲悪的なもののほうが好まれるというのか。

ミスティック・リバー (字幕版)

心の扉

Bizmatesの学習プログラムのひとつ、Bizmates Discoveryで「Temporary friend」という題のエッセイを選んでみた。

飛行機で偶然隣り合わせたひとに、“Are you here on business or for pleasure?”と話しかけられ、おっかなびっくり応対しているうちに、そのひとと3時間近くも話をしてしまった。着陸とともにその一時の友だちとは別れた、という筆者の体験談をもとに、自らの体験を言葉にしてみるというもの。

事前に何を話そうかと思い巡らしてはみたものの、体験がほぼ「なし」に近く…トレーナーとの会話もはずまず、レッスンが正直きつかった。

でも、不思議といろいろ気づきがあった。

一人で旅したのは一度しかなかったこと(それも日帰りで)、自分から知らないひとに敢えて話しかけたりしていないこと、映画「ビフォア・サンライズ 」のようなシチュエーションにちょっと憧れていたこと…

もっと心の扉を開いて、自由に一人旅してみたり、偶然の出会いを楽しんでみてもいいのかも。と思った。

I don't normally start a conversation myself.

こんな自分をちょっと変えて…

I start a conversation myself at times when traveling alone.

くらいでいきたい。

 

飛行機に乗りたくなってきた。

'undateable'ではいたくないから

少し前のことだけど、アンドプレミアムの2018年5月号で、「フランシス・ハ」の主人公フランシスが、「ワーク・イン・プログレスな女性」として紹介されていた。つまり、自分の目指すものを手に入れようと努力しつづけている女性、ということらしい。
主人公を演ずるグレタ・ガーウィグを始めて知ったのは、2017年のアカデミー賞。女優なのに、監督、脚本にも手を出しているパワフルな女性、という印象が残っていた。どんな女性なのかな?フランシスにも、グレタ・ガーウィグ自身にも素朴に興味がわいた。

映画をみはじめて、はじめフランシスが痛々しすぎて、見てられない感じ。ニューヨークでプロのダンサーを目指しているけれど、全然芽が出ないし、恋人やルームメイトとの関係もうまくいかず、、、ただの夢追い人が、無いものねだりをしているような感じと言えばいいのか。

男友だちから'undateable'(非モテ)だよと言われていて、自分でも自身をそう表現したりしている。

この無いないものねだりって、よくある状況かもしれない。憧れの地位や人間関係があっても、ただ欲しいと思っているだけで、具体的に獲得する努力をしていない状況。むしろ努力しない言い訳をしたりしている。(「時間がない」とかが多いかな、わたしの場合。)

そんな人って確かに魅力的じゃないし、ほんと'undateable'(笑)、いっしょにいてもつまらないかもなぁと妙に納得してしまった。

フランシスは、最後、夢見たダンサーではないけれど、遠回りしながらも、かろうじてダンスの世界に身をおき、第一歩を踏み出す。
現状が満足できる人なんて早々いない。だから、もがき続けてひとつずつ獲得していくしかない。例えば、仕事で必要だけど知識が足りてない分野の勉強をする、とか、憧れの作家の本の感想を書いてみる、とか…本当に小さな小さな一歩から。

つい近道したくなるけれど、、、でも、フランシスを見ていて、やっぱりもがくしかないし、今の自分のやり方で間違っていないと思えた。がんばろう。

フランシス・ハ(字幕版)

理解できなくていい Again

ノーカントリー」からのコーエン兄弟つながりで、「ファーゴ」を鑑賞。女警官が最後に漏らす一言、'I just don't understand it.'(理解できないわ) に思いが集約されている感じ。ノーカントリーと根底にある思想が近い気がする。ただ、強烈にそれが伝わってきたというよりは、ノーカントリーを見た後だったから、気づけたのかもという感じ。
殺人鬼も、でっち上げ誘拐で身代金をがめようとするおじさんも、虚言癖のある日系アメリカ人も、理解不能として処理するしかないと思えるのだけど、もしノーカントリーを見ていなかったら、その境地に至れなかったかも。「この映画ヤダ…」って拒絶していた可能性が高い。

いずれにしても、でっち上げ誘拐のような一大計画なのに、首謀者のおじさんの考えが浅くて頼りなくて、その感じを完全に醸し出しているウィリアム・H・メイシーの演技が素晴らしいと思った。あと、ミネソタ州の雪深い景色やレストランやバーのシーンを見ていたら、アメリカも旅してみたくなった。そもそも車社会、銃社会という、日本(主に都市部)とは環境が違いすぎて、気軽に旅する範囲を超えているのだけど、だからこそ異国として惹かれるものがある。文化としてはたくさん影響を受けているけれど、やっぱり遠い国だよなぁ。

バイキング形式のレストランで、女警官とその夫が、ポテトサラダや肉だんご、グラタンぽいものやらをたんまりと盛り付けて、もぐもぐ食べるシーンとかすごい美味しそうで、普通な感じがして、変な人だらけの中、安心して見れる好きな場面だった。
グアムのホテルで、ディナーバイキングをしたとき、あんな感じだったかも。国際情勢が落ちついてきたら、またグアム辺り行ってみたいな。

ファーゴ (字幕版)