デニス・ルヘイン原作の映画を再び

シャッターアイランド」をみた。悲しくて暗いけど、示唆に富む内容だった。
ひとは、肉体的もしくは精神的に大きな衝撃をうけた場合、想像以上に、心に大きな傷を負うのかもしれない。大地震がおきて、津波に飲み込まれる故郷を見てしまったら?非人道的な犯罪に巻き込まれてしまったら?
自分なら立ち直れる。そう簡単に思っていたけれど、なぜ、精神をつかさどる脳と、胃や心臓などのほかの臓器は違う、と考えていたのだろう。極度のプレッシャーが加われば、脳も故障する(正気を保てなくなる) のは普通のこと。そんなことを考えるきっかけになった。
印象的だったのは、マーラーのピアノ四重奏がレコードから流れる場面。
ディカプリオ演じるテディと相棒チャックが短い会話を交わす。
'Nice music.Who is it?Brahms?'(いい音楽だ。ブラームスか?)とチャックが尋ね、
テディが'No. It's Mahler.' (違う マーラーだ)と答える。
テディの表情、マーラーの旋律、記憶と現実とが交錯する感じ。こういった世界観を構築できるスコセッシ監督は、すごいなぁと思う。
 
それにしても、デニス・ルヘインの話は重たい。好きだけど、精神を抉られる感じがする。