裏切りのサーカス。誰が邦題つけたの?

映画「裏切りのサーカス」をみた。冷戦の最中の諜報活動、その中でも二重スパイの存在を暴くことに焦点を当てている。犯人探しを楽しむというよりは、歴史上、英国人でありながら、ロシアに協力をし続けた人たちが実在したという事実を伝えたかったのかなと思う。

 

一度見ただけだと話の筋がよくわからず、自分は馬鹿なの?と不安になる。でも、海外のレビューを読むと、英語圏の人たちでもわからない人はいるみたいだった。気を取り直して、ネットで筋をチェックしてからもう一回見てみたら、わりといい映画だなと思えた。裏切り者などいないと信じていた良き時代、上司と部下の関係もよく、分かつことのできない友情もあった。それが、いつしか、上司が部下にコードネームをつけ、裏切り者を探すような事態になってしまった。そんな二つの時間が交錯する形で描かれている。ラストで、二重スパイが明らかになり、ラ・メールのシャンソンが流れる過去のパーティーのシーンに切り替わった時、わっと切ない気持ちに襲われた。二重スパイがソビエト側を選んだ理由が、理解し得ないもの(おそらく、主人公のスマイリーにとってもそうであったと思う)だったことで、もう過去の良き時代は完全に終わり、悲しみだけが残されたような感覚というのか。二つの時間の対比が効果的なのだと思う。

 

ゲイリー・オールドマンコリン・ファース、その他、皆さんが渋くてかっこいいし、話の筋さえ理解してしまえば楽しめるのだけど、如何せん邦題がイケてない。誰がこんなタイトル思いついたんだろう…