Mystic Riverを見て

日経夕刊の書評に、デニス・ルヘインの「あなたを愛してから」が出ていた。タイトルに惹かれて著者についてウィキペディっていたら、前から見ようと思っていた映画「Mystic River」の原作者だった。

さっそく見終わって、しばらく呆然とする。すごいものを見てしまったな、と。 

淀みなく流れる川が、幼馴染3人それぞれが抱える後悔や苦しみを受けとめてくれるようだった。逆に、川がなければ、絶望しか感じられなかったかもしれない。

We bury our sins here,Dave…We wash them clean.
(この河に罪を沈め、洗い流す)
もし理不尽な方法で家族の命が奪われたり、自らが虐待を受けてしまったら?家族のために、あるいは自らの尊厳のために、あるひとは闘うのかもしれない。そして、ジミーが川に自らの罪を沈めたように、自らの苦悩をそれぞれのやり方で解放する。
一方で、デイブは、暗い記憶を体内に留め、解放することができなかった。
It's like vampires.Once it's in you...it stays.
(吸血鬼と同じなんだ。いったん体に入ってしまうと出ていかないんだ。)だから、ダメなんだと言いたいのではない。心に負った傷を癒すことなど到底できないということも、また真実なのだと思う。

しかし、アメリカではこれがベストセラーになるのかぁ。日本人ってここまで内面に切り込まれるのは苦手かもしれない。完全懲悪的なもののほうが好まれるというのか。

ミスティック・リバー (字幕版)